Le Tour de Filipinas 第3ステージ 185.79km
ツール・ド・フィリピン第3ステージでウェズリー・サルツバーガーが優勝
総合では伊丹健治が6位に浮上 チームがパーフェクトな走りを見せる
20th February 2016
●ツール・ド・フィリピン(Le Tour de Filipinas)
第3ステージ ダエト~レガスピ 185.79km
●出場選手
ジャイ・クロフォード
阿曽圭佑
伊丹健治
野中竜馬
ウェズリー・サルツバーガー
ツール・ド・フィリピン(Le Tour de Filipinas、UCI Asia Tour 2.2)は2月20日、第3ステージが行われ、マッチスプリントを制したウェズリー・サルツバーガーがステージ優勝。
KINAN Cycling Teamに2016年初勝利をもたらした。
また、総合7位でスタートした伊丹健治もメーン集団で危なげなくフィニッシュ。
順位を1つ上げ、総合6位で最終ステージを迎えることとなった。
大会は後半に入り、総合成績を見据えて有力チームが駆け引きを始める。
そんな中で臨むステージは細かなアップダウンこそ続くものの、カテゴリー山岳は設けられておらず、スピードに富んだ展開になると予想された。
約8kmのパレード走行を経てアクチュアル(正式)スタートが切られると、すぐに6人が逃げグループを形成。
KINAN勢はこの中にウェズリーが加わった。
いずれも前日の第2ステージでトップから大きく後退した選手たちだったこともあり、メーン集団は6人の抜け出しを容認した。
この日1回目のスプリントポイント(60km)では動かなかったウェズリーだったが、メーン集団とのタイム差が最大で約7分に広がり、ステージ優勝のチャンスがあると見るや、2回目のスプリントポイント(102.1km)を1位通過。メーン集団は、リーダージャージのオレグ・ゼムリャコフ選手(カザフスタン)擁するヴィノフォーエバー・SKOが主にコントロール。
無理にタイム差を縮めようとしない姿勢に他チームが痺れを切らし、集団の先頭に位置する場面こそあったが、大きなタイム差縮小とまではいたらない。
再び約8分にタイム差が広がったこともあり、5人となったウェズリーたちの逃げ切りは濃厚に。
ラスト20kmを切ると、ヴィノフォーエバーのアシストがメーン集団の牽引をやめたこともあり、5人の中からステージ優勝者が出ることは決定的となった。
ラスト15kmを切ってからは5人の間でアタックが散発するが、いずれも決定打にはいたらない。
そして勝負が大きく動いたのは、フィニッシュまで残り3kmを切ったあたり。
アタッキ・チームグストのガイ・カルマ選手(オーストラリア)のアタックにウェズリーが乗じ、2人で抜け出すことに成功。
互いに先頭交代を繰り返しながら、いよいよ運命のラスト1kmを迎えた。
勝利への執念を見せる2人だが、ヨーロッパなど世界最高峰のレースを数多く経験してきたウェズリーに一日の長があった。
残り300mで早めのスプリントを仕掛けたカルマ選手をしっかりとチェックし、自らのタイミングで加速。
フィニッシュラインの数十メートル先で勝利を確信し、歓喜のゴールを果たした。
ワールドクラスの実績を誇るウェズリーとはいえ、UCIレースでの勝利は実に7年ぶり。
KINAN Cycling Team加入2戦目での大きな勝利に、ポディウムでは笑顔がはじけた。
そして、フィニッシュポイントも加算し、13点でポイント賞ジャージも獲得。
残る1ステージはジャージをかけた戦いにもなる。
総合上位陣が含まれたメーン集団は、ウェズリーから3分10秒差でレースを終えた。
チーム総合最上位の伊丹は16位でフィニッシュし、同タイムの選手間でのステージ順位合算により総合6位にアップした。
ほか3選手は、終始メーン集団内で伊丹のサポートに徹し、ジャイが伊丹と同タイムの30位、阿曽圭佑が伊丹らから10秒差の40位、同じく野中が48位だった。
結果、KINAN Cycling Teamはチーム内上位3人の合計タイムで争われるチーム総合において、このステージの1位に輝いた。
大会は21日に行われる第4ステージでフィナーレ。
レガスピを発着地とする160.20kmのコースは、レガスピのシンボルであるマヨン山の麓を2周回。
厳しい上りが複数控えており、クイーンステージの呼び声も高い。
山岳ポイント、スプリントポイントそれぞれ2カ所ずつ待ち受けており、各賞ジャージ争いにも拍車がかかるはずだ。
よい流れで第3ステージまでを終えたKINAN Cycling Teamとしては、伊丹の総合ジャンプアップ、3ポイント差で4位につけるジャイの山岳賞、そしてウェズリーが着用するポイント賞ジャージと、大きなチャンスをもって最終日に挑むこととなる。
ツール・ド・フィリピン第3ステージ(185.79km)結果
1 ウェズリー・サルツバーガー(オーストラリア、KINAN Cycling Team) 4時間27分55秒
2 ガイ・カルマ(オーストラリア、アタッキ・チーム グスト) +2秒
3 ジョニファー・ラヴィーナ(フィリピン、セブンイレブン・サヴァRBP) +20秒
4 ダニエル・ホワイトハウス(ニュージーランド、テレンガヌ サイクリングチーム) +20秒
5 クリストファー・ウィリアムス(オーストラリア、チーム ノボノルディスク) +25秒
6 ルストム・リム(フィリピン、フィリピンナショナルチーム) +3分7秒
16 伊丹健治(KINAN Cycling Team) +3分10秒
30 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team) +3分10秒
41 阿曽圭佑(KINAN Cycling Team) +3分20秒
48 野中竜馬(KINAN Cycling Team) +3分20秒
●個人総合時間賞
1 オレグ・ゼムリャコフ(カザフスタン、ヴィノフォーエバー・SKO) 13時間43分22秒
2 エフゲニー・ギディフ(カザフスタン、ヴィノフォーエバー・SKO) +19秒
3 ジェシー・ジェームス・イワート(オーストラリア、セブンイレブン・サヴァRBP) +22秒
4 バトムンフ・マラルエルデネ(モンゴル、テレンガヌ サイクリングチーム) +23秒
5 鈴木龍(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) +1分25秒
6 伊丹健治(KINAN Cycling Team) +1分25秒
13 ウェズリー・サルツバーガー(オーストラリア、KINAN Cycling Team) +6分45秒
24 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team) +10分8秒
30 野中竜馬(KINAN Cycling Team) +10分18秒
47 阿曽圭佑(KINAN Cycling Team) +21分23秒
●ヤングライダー賞
1 エフゲニー・ギディフ(カザフスタン、ヴィノフォーエバー・SKO) 13時間43分41秒
2 ジェシー・ジェームス・イワート(オーストラリア、セブンイレブン・サヴァRBP) +3秒
3 バトムンフ・マラルエルデネ(モンゴル、テレンガヌ サイクリングチーム) +4秒
●チーム総合時間賞
1 ヴィノフォーエバー・SKO 41時間13分59秒
2 セブンイレブン・サヴァRBP +5分16秒
3 テレンガヌ サイクリングチーム +5分58秒
5 KINAN Cycling Team +14分38秒
●ポイント賞
1 ウェズリー・サルツバーガー(オーストラリア、KINAN Cycling Team) 13pts
2 オレグ・ゼムリャコフ(カザフスタン、ヴィノフォーエバー・SKO) 10pts
3 エフゲニー・ギディフ(カザフスタン、ヴィノフォーエバー・SKO) 8pts
●山岳賞
1 オレグ・ゼムリャコフ(カザフスタン、ヴィノフォーエバー・SKO) 10pts
2 ザンドス・ビジギトフ(カザフスタン、ヴィノフォーエバー・SKO) 10pts
3 スリャディ・ダディ(インドネシア、テレンガヌ サイクリングチーム) 8pts
4 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team) 7pts
●監督・選手コメント
石田哲也監督
「シーズン2戦目での勝利は、今後のレースに勢いをもたらす最高の結果だ。スタート直
後からウェズ(サルツバーガー)を含む脚のある選手がそろったことが、逃げ切りにつながった要因だろう。終盤はウェズの上手さが際立っていた。残す最終ステージは、伊丹を少しでも総合上位に送り込んで、何としてもUCIポイントを獲得したい」
ジャイ・クロフォード
「パーフェクトなステージだった。何よりもウェズの勝利に尽きるね。力のあるウェズが逃げグループに入ったことによって、リーダーチームのヴィノフォーエバー勢の脚を使わせることができたし、われわれはイージーに1日を過ごすことができた。明日、伊丹さんのために力を出し切ることができそうだ」
阿曽圭佑
「第2ステージよりは調子がよかった。脚が動いている感覚があったし、伊丹さんのアシストとして集団内で走ることができた。あと1ステージは力を出し尽くしたい」
伊丹健治
「チームとしてパーフェクトな動きができたのではないか。ウェズが逃げてステージ優勝したと同時に、僕たちは集団内で回復に努めることができた。第2ステージの落車ダメージも減ってきているので、最終ステージは少しでも上位を目指して走りたい」
野中竜馬
「伊丹さんのフォローに終始することができ、大きなトラブルなくステージを終えられた。最終ステージも伊丹さんの総合上位を目指してしっかりと走りきりたい。個人的には調子がよく、内容のある走りができている」
ウェズリー・サルツバーガー
「絶好のレース展開になることは走っている間から分かっていたんだ。ラスト3kmを切ってからのアタックは、カルマと申し合わせていたこと。彼の動きに合わせて僕もスピードアップしたんだ。スプリントになれば勝つ自信があったし、先に仕掛けたカルマを交わすことはなんら問題がなかったよ」
text:Syunsuke FUKUMITSU
Photo by Daebong KIM
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