スポーツの持つ力
我々サイクルロードレースのプロチームが活動する意味、それはチーム個々に様々なものが存在するだろう。
キナンサイクリングチームが年間で最も大切にしている「ツールド熊野での活躍」なんてものは、手前味噌だけど、とても明確かつ分かりやすいものだ。
1年の活動指標、動きの段取り、全てはツールド熊野が起点になって動いていると言っても過言ではない。
我々、運営陣にとって一年の始まりはツールド熊野が終わったタイミングからなのだ。
もちろん選手たちはシーズン後半までレースがあるので、全くもってそうではないかもしれないけど、私達スタッフはツールド熊野が毎年の区切りだ。
今年の熊野での我々の成績は、ステージ優勝こそはじめて成し遂げたものの、個人総合優勝は勝ち取れなかった。
来年こそはリベンジである。
題名に書いた「スポーツの持つ力」について書いてみたい。
僕らスポーツに関わる人間は、野球もサッカーもバスケットボールも年俸の差こそあれど、そのスポーツを専業としてご飯を食べている。
ということはスポーツビジネスの世界にいる。
これはスポーツをビジネス的な観点から捉え考えることが必然となってくるということである。
観客を魅了し、お金を支払う価値のあるものに醸成させていく義務がある。
でなければ淘汰される。
資本主義市場にとって価値のあるものに仕立て上げられて、やっとそこで初めて選手達のお給料に反映させらるのだ。
危険度に応じてもっと給料をもらっても良いのではないのか?といったご意見を頂くのだが、そうではないと考えている。
どれだけ多くの人々に感動を与えてかつ、お金を払ってでもまた再びその感動を味わいたいと思ってもらえる価値のあるものか否か、全てはそこにかかっている。
紛れもない資本主義の原理である。
ツールド熊野に関わって下さる地元、熊野地域の皆様が、待ち望んでいたキナンサイクリングチームの熊野でのステージ優勝では、何人もの方々が涙して喜んでくださっていた。
大の大人が一目も憚らず泣くほどの感動と情熱。
これがスポーツには確かに存在する。
これを小売業に例えた時、お客様が素晴らしい商品を手に入れた際に涙を流して喜ぶ機会など、そう多くはない。
これを飲食に例えた時、美味しいラーメン屋さんが潰れないように喉を枯らすほどに声を張り上げてそのラーメン屋さんの応援をするなんて機会はそう多くない。
でもスポーツ観戦では声が枯れるほどに声援を送って、本当に翌日に声が出ないなんてこともある。贔屓のチームが勝てなくて泣くこともある。またその逆で勝って泣くこともある。
この「感動」の為に情熱を注いでもらえるスポーツを生業としている僕たちは、他の業種に比べてとても恵まれているんじゃないかと最近は思うことがある。
スポーツビジネス産業の未来はこの感動と情熱が大きな力となり、今後の日本で発展していくことを願っている。
そしてその力が必ずや関わる人々も含め、応援して下さる人々の生きる糧となる日を夢見て、現在のところチーム運営を続けている次第です。
そんなことをふと書き留めたくて、ツールドおきなわへ向かう飛行機の待ち時間にこのブログを書いています。
これから今年の国際レースの締めくくりに行って来ます。
今後ともKINAN Cycling Teamの応援を宜しくお願い致します。
恒例となりました年末のモリコロパークでの新チーム体制発表、よろしければ遊びに来てください。↓↓↓
エンデューロの一次募集、エントリー締め切りは11/15日となっています。
ご検討中の皆様、お急ぎ下さい!