ツール・ド・北海道 第4ステージ 219km
ツール・ド・北海道 2016(UCI アジアツアー 2.2)は最終日となる 9 月 3 日、第 4 ステ ージが行われた。個人総合優勝を賭けてこの大会最後の戦いに挑んだ KINAN Cycling Team は、ライバルチームからの厳しいマークにあい、リーダージャージには手が届かず。 それでも、前日の第 3 ステージで総合 3 位につけたリカルド・ガルシアの順位をチーム一丸となって守り抜き、総合表彰台の一角は確保した。
9 月 1 日に開幕した今大会。いよいよ最終日を迎えた。前日の第 3 ステージに続き、倶知安町をスタートし、ニセコの山岳地帯を通過後、支笏湖と洞爺湖をめぐって札幌へとフィニッシュする 219km のステージ。レース距離が長いうえ、序盤と終盤に控える山岳ポイントが勝負にどのように影響するかが見ものとなった。
第 3 ステージまでを終えて、個人総合時間賞で首位に立つのは宇都宮ブリッツェンの増田成幸選手。リカルドはステージ 2 位に入る活躍もあり、増田選手を 27 秒差の総合 3 位で追って最終の第 4 ステージを迎えた。また、ジャイ・クロフォードも総合 6 位と好位置につける。
総合上位に 2 選手が入っていたこともあり、ライバルチームからのマークが厳しいものとなった。スタート直後から多くの選手が逃げ狙いのアタックを試み、KINAN 勢も次々と動いたものの、ブリッツェンは増田選手が自らが対応するなど、攻撃のすべてをチェックされた。
ジャイ・クロフォードは序盤から何度も逃げにトライした
結局、チームから逃げに乗せることはできなかった。スタートして 17.1km 地点に設けられた、このステージ 1 つ目の山岳ポイントを過ぎてから、5 人がレースをリードした。
この 5 人の逃げは、メイン集団をコントロールした宇都宮ブリッツェンや NIPPO・ヴィーニファンティーニが容認。スタートから 90km 進んだ段階で 11 分 15 秒にまでタイム差が広がった。
レース後半に入り、逃げる 5 人とのタイム差が縮小傾向にあったものの、一気に縮まる気配は見せない。そこで、KINAN 勢からもメイン集団のペースコントロールに選手を送り込む。阿曽圭佑や伊丹健治、野中竜馬が終盤の上り区間でリカルドやジャイを前方へと送り込むべく、献身的にアシストする。
集団内でトレインを形成する 3 選手。右からジャイ・クロフォード、リカルド・ガルシア、 野中竜馬
その甲斐あって、勝負どころの上りでジャイが動いてメイン集団の人数を絞り込む。これによって総合上位の選手を中心とした展開となり、そのままフィニッシュを目指す格好となった。
一時は大差になった逃げとメイン集団だったが、総合上位陣が互いに意識し牽制状態になったこともあり、先行した 5 人の逃げ切りを許した。ステージ優勝はラクラン・モートン 選手(オーストラリア、ジェリーベリー p/b マキシス)。34 秒差でメイン集団がフィニッシュへとやってきた。この中にリカルドとジャイが含まれ、総合上位を堅守した。
最後までリードを守りぬいた増田選手が総合優勝。リカルドは前日と同様に 27 秒差で総 合 3 位となった。このステージで逃げ切った選手とのタイム差が関係し、ジャイは総合 7 位とポジションを下げたものの、チームの目標の 1 つでもある UCI ポイントの獲得は成し遂げた。
今大会はアシストとして懸命に働いた野中、阿曽圭佑、伊丹の 3 選手。阿曽圭佑と伊丹は役割を果たした後、バイクを降りリタイア。野中は総合 37 位で完走した。
また、チーム総合成績でもKINAN Cycling Teamは3位に食い込んだ。これは、各ステ
ージ上位 3 選手のフィニッシュタイムを合算し順位を決めるもので、KINAN 勢はリカル ドとジャイに続き、3人の日本人選手もしっかりと役割を果たしてレースを終えたことで、 チーム全体の好成績にもつなげた。
重要なレースを終えたチームだが、今後も引き続き勝利を狙っての活動が続く。ビッグレースも控えており、よりチーム力を高めて臨んでいく。
ツール・ド・北海道第 4 ステージ(219km)結果
1 ラクラン・モートン(オーストラリア、ジェリーベリー p/b マキシス) 5 時間 33 分 44 秒
2 ホセヴィセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ) +0 秒
3 西薗良太(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +0 秒
4 木村圭佑(シマノレーシングチーム) +0 秒
5 吉岡直哉(那須ブラーゼン) +3 秒
6 リカルド・スタキオッティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +34 秒
17 リカルド・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +34 秒
24 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team) +34 秒
36 野中竜馬(KINAN Cycling Team) +3 分 33 秒
DNF 伊丹健治(KINAN Cycling Team)
DNF 阿曽圭佑(KINAN Cycling Team)
●個人総合時間賞
1 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) 12 時間 50 分 23 秒
2 ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +27 秒
3 リカルド・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) +27 秒
4 中根英登(愛三工業レーシングチーム) +29 秒
5 シリル・ティエリー(スイス、ヴェロクラブ メンドリシオ) +30 秒
6 吉岡直哉(那須ブラーゼン) +30 秒
7 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team) +33 秒
37 野中竜馬(KINAN Cycling Team) +11 分 32 秒
●ポイント賞
1 ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) 39pts
7 リカルド・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) 20pts
17 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、KINAN Cycling Team) 11pt
●山岳賞
1 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) 24pts
8 リカルド・ガルシア(スペイン、KINAN Cycling Team) 5pts
13 野中竜馬(KINAN Cycling Team) 3pts
●チーム総合時間賞
1 ブリヂストンアンカーサイクリングチーム 38 時間 39 分 38 秒
3 KINAN Cycling Team +2 分 39 秒
●監督・選手コメント
石田哲也監督 「本音を言えば総合優勝がしたかった。最終ステージはライバルチームが力のある選手を逃げに送り込んだが、今度はわれわれが同じような展開に持ち込めるように、それも力でもっていけるようにしたい。同時に、総合上位を確保するだけのチーム力があることは実感しているので、今後は総合優勝するために必要なことは何かを考えたい。チームとして の精度は、昨年より格段に高まっている。それは、メンバー間で人となりが理解できたり、 選手としての脚質を知ることにあって、さらに時間をかけて培ったチームワークにもある。 チームとしては、引き続き UCI アジアツアーをメインターゲットとして活動をしていく」
ジャイ・クロフォード「個人的には悔しい結果だ。今日(第 4 ステージ)は何度も逃げを試みたし、チームのみ んなも積極的に動いた。しかし、周りのチェックが厳しく、難しいレースになってしまった。それでも、リッチーが総合 3 位になって、よい成績を残してくれた。野中さん、伊丹さん、阿曽さんも素晴らしい働きぶりだった」
阿曽圭佑「最初の上りでジャイさんと僕を含む 7 ~ 8 人が前に行ったが、ブリッツェンの増田さんや堀(孝明)さんもついてきたことで牽制状態になってしまい、集団に吸収されてしまった。大会全体を通して、個人的にはもっと走れるような気がしていたが、体調がいまひとつ整わなかった。連携面では、走りながらみんなでコミュニケーションをとって、誰が何をすべきか理解できていると思う。年間通して一緒に走ってきて、感覚でどうすべきか分かるようになった」
伊丹健治 「いろいろと頭を使ったレースだった。もう少し工夫できれば違ったレースになったのかもしれないけれど、5 人がそれぞれやるべきことをやって得た個人総合 3 位とチーム総合上位入りだと感じている。チームとして、ピンチに陥ったときや困ったときこそ、メンバー間の絆が深まると思うし、今後も一致団結して苦しい局面を乗り越えながら、みんなで総合優勝を目指してほしい。その意味では、今回の宇都宮ブリッツェンのレース運びは巧みだったと思う。増田さんの勝ち方は、アシストの人数を残しながら、最後まで戦い抜くスタイル。これをキナンができるようになってほしいし、今回のレースでその戦い方ができるとも思った。年を追うごとに、きっとよいチームになっていくはず。(現役引退前最後のステージレース)最後は牽ききってレースを終えたけれど、何かしら仕事ができたのはよかった」
リカルド・ガルシア 「とても難しく、ハードなレースだった。多くのチームが攻撃的だったし、僕たちへのマークも厳しかった。逃げがかなりのタイム差になったし、必ずしもプラン通りにはいかないものだ。僕の結果にみんなが喜んでくれて、強いと言ってもらえるのはハッピーだ。それでもやっぱり勝ちたかったし、今後もよい成績を出し続けていく必要がある。そして、 チームのみんなにも感謝している」
野中竜馬 「ステージごとに、『今日は誰が動くのか』といった面での意思統一が図られていて、何も言わなくてもそれぞれの役割をこなせていたのがこの大会を通じての感想。それがリッチーやジャイさんを総合上位に送り込めたり、第 3 ステージでリッチーが 2 位になったことにつながったと思う。昨年と比べても、チームとしての成熟度が増しているし、上手くはまっている感覚もある」
text&photo:Syunsuke FUKUMITSU
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